アイドル歌手を強盗から救い出し、国民的ヒーローとなった優しく誠実な宅配ドライバーのゴヌ(カン・ドンウォン)。ある日、旧友のムヨル(ユン・ゲサン)に突然呼び出されて再会を喜んでいた時、目の前で次期大統領最有力候補者が爆弾テロにより暗殺されてしまう。動揺するゴヌに向かってムヨルは、「お前を暗殺犯に仕立てるのが“組織”の狙いだ。誰も信じるな、生きろ!」と警告して自爆。ゴヌは、その瞬間から無数の人物に命を狙われ、訳も分からずひたすら逃げることになった。やがて全ての計画が国家権力によって仕組まれたものだと知る。身に覚えのない罪を着せられ証拠をねつ造された絶体絶命の状況下、生きて自らの無実を証明するための必死の逃走と反撃がはじまる。
「本屋大賞」「山本周五郎賞」を受賞した伊坂幸太郎の傑作ベストセラー小説を原作に、強大な陰謀に巻き込まれた平凡な男の迷走サバイバルを描いた本作。2010年に公開された同タイトルの日本版とは一味違う大胆な脚色が随所に加えられ、原作とは異なるラストや、迫力あるバトルシーンが盛り込まれている。作品のテーマソングとなっているのが、ビートルズ解散直前にポール・マッカートニーが完成させた「Golden Slumbers」だ。この名曲が、男性4人グループ「WINNER」のリードボーカルであるカン・スンユンの柔らかく魅力的なボイスと、若き歌姫イ・ハイのソウルフルな歌唱による2バージョンのカバー曲となって蘇り、ノスタルジーを誘う。そして、この曲が主人公ゴヌの支えとなり、高校時代の友人たちとを結ぶ。
原作に感銘を受けたカン・ドンウォンが、自ら映画製作会社に製作をオファーし、7年の歳月を経てその夢を実現させた意欲作。『MASTER/マスター』『華麗なるリベンジ』などで個性の強い役柄をこなしてきた姿から一転。本作では、アブノーマルなシチュエーションに放り込まれた善良でごく普通の市民の困惑を全身で表現し俳優としての新境地を開拓している。 『ビューティー・インサイド』「トンイ」(TV)の人気女優ハン・ヒョジュ、『犯罪都市』のユン・ゲサン、『インサイダーズ/内部者たち』のキム・デミョン、『悪いやつら』で強烈な印象を残したキム・ソンギュン、そして『新感染 ファイナル・エクスプレス』のベテラン俳優キム・ウィソンが加わり、「サスペンス」「アクション」「コメディ」「ロマンス」「青春ドラマ」の醍醐味を堪能できる作品となった。