地球規模の核汚染によって壊滅した世界に、唯一死の灰を免れた奇跡の谷があった。緑豊かなその谷で、地球上に残された1人の女が、かつて家族と暮らした農場で、揺るぎない信仰心に支えられ長すぎる孤独の中で生きていた。ある日、安全な場所を求めて放浪していた科学者ジョンに遭遇する。人種も考え方も異なる2人だったが、互いに支え合いながら生活していくうちに、慎み深くも濃密な“2人だけの関係”が芽生えていた。しかし、もう1人の生存者である美しい若者ケイレブが現れたことで、彼らの生活は一変する・・・。
「人間はどんなときでも理性を保っていられるのか…?」
宗教、人種、複雑な男女の三角関係――極限状態に陥った人間の心理を鋭く描写する衝撃の問題作!
地球最後の女を演じるのは、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』で本年度アカデミー賞®主演女優賞にノミネートされたばかりの注目の女優マーゴット・ロビー。2人の男には、『それでも夜は明ける』でアカデミー賞®やゴールデン・グローブ賞にノミネートされた実力派俳優キウェテル・イジョフォーと、『スタートレック』シリーズや『ワンダーウーマン』など話題作に出演する期待の俳優クリス・パイン。交錯する男女の欲望と孤独、複雑に揺れ動く感情を見事に表現し、地球上に取り残されたリアルな“第2のアダムとイヴ”を全力で演じている。
原作は、1976年にエドガー・アラン・ポー賞を受賞したアメリカの児童文学者ロバート・C・オブライエンの「死の影の谷間(原題:Z for Zachariah)」。登場人物が2人だけだったミステリーの傑作を、イギリス人脚本家ニサール・モディが大胆に脚色。監督は『コンプライアンス 服従の心理』で追いつめられる人間の見事な心理描写が絶賛された気鋭のクレイグ・ゾベル。製作には、新進映画作家の後押しに精力的なことで知られる「スパイダーマン」シリーズの俳優トビー・マグワイアが参加している。原作のもつ緑豊かな風景はそのままに、突然現れた3人目の男の登場によって更に複雑に揺れ動く男女間の微妙な心の綾が見事に映像に収められている。
夾雑物の取り除かれた世界でそれはより明瞭な輪郭を持って立ち現れる。三人の心の葛藤が、観念的ではない具体的なアクションの積み重ねを通して描かれているのも良かった。