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料理がつないだ“元一流シェフ”と“アスペルガー症候群の青年”の友情を描くバディー・ムービー!
〝グルメ界の神〟になりそこね、不器用で怒りっぽい性格の中年男。〝神の舌を持つ天才〟でありながら、恋愛に不慣れなピュアな青年。生きてきた環境も性格もまったく異なる二人が、料理を通じて心を通わせていく姿を、イタリアならではの明るさと優しさで描く心温まるヒューマンコメディ。水と油のような関係の凸凹コンビによるバディ・ムービーや、コンテストの開催地トスカーナをめざすロードムービーの楽しさも満載。想像力と創造性に満ちた鮮やかなイタリア料理に味覚を刺激されながら、全編にわたり極上のテイストを醸し出している。
主人公アルトゥーロを演じるのは、凄惨な自爆テロから唯一生還した男の実話『イラクの煙』(10)で「ヴェネチア国際映画祭イタリア映画記者賞」やイタリアのアカデミー賞「ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞」ほか多くの主演男優賞に輝いた名優ヴィニーチョ・マルキオーニ。口にした料理の材料と調味料をすべて言い当てることができる「絶対味覚」の持ち主グイド役を熱演した若手注目株ルイジ・フェデーレは、純朴なキャラクターの喜怒哀楽を巧みに表現し、本作で「国立イタリア映画記者連盟賞」を受賞。この二人を見守る女性心理学者アンナ役は、イタリアでスマッシュヒットを記録しシリーズ化された『いつだってやめられる10人の怒れる教授たち』のヴァレリア・ソラリーノ。三者三様の人間味あふれるナチュラルなパフォーマンスが芳醇なスパイスとなって、観客の心を感動で満たしていく絶品の逸作。
海外の超一流店で料理の腕を磨き、開業したレストランも成功させた人気シェフのアルトゥーロ(ヴィニーチョ・マルキオーニ)。しかし、共同経営者に店の権利を奪われたことで暴力事件を起こし、順風満帆だった人生から転落。地位も名誉も信頼も失った彼は、社会奉仕活動を命じられ、自立支援施設「サン・ドナート園」でアスペルガー症候群の若者たちに料理を教えることになった。 無邪気な生徒たちと、少々荒っぽい気質の料理人の間には、初日からギクシャクした空気が流れる。だがそんな生徒のなかに、ほんの少し味見をしただけで食材やスパイスを完璧に言い当てられる「絶対味覚」を持つ天才青年グイド(ルイジ・フェデーレ)がいた。祖父母に育てられたグイドが料理人として自立できれば、家族も安心するだろうと考えた施設で働く自立支援者のアンナ(ヴァレリア・ソラリーノ)の後押しもあり、グイドは「若手料理人コンテスト」へ出場することになった。アルトゥーロを運転手にして、グイドは祖父母のオンボロ自動車に乗り込み、コンテストが開催されるトスカーナまでの奇妙な二人旅が始まる。
「コンテストで優勝すれば、賞金がもらえて、車を買えて、恋人ができる!」とハイテンションなグイドに対し、運転を任されたアルトゥーロは道中ずっと同じ曲をエンドレスで聴かされたり、ホテルの部屋は殺虫剤の臭いがキツいからと車中泊を強いられたり、天真爛漫だがこだわりの強いグイドのペースにすっかり巻き込まれてしまうのだった...。
道中トラブルに見舞われながらも何とかトスカーナに到着し、多くの人々が注目するなか、いよいよ3日間にわたる料理バトルがスタート。一次予選はグイドお得意の「試食による材料当て」。二次予選は「課題料理の調理」。これらを勝ち抜いた2名だけが決勝戦に臨むことができるのだ。才能のすべてをかけた大一番に挑むグイドだったが、ちょうど時を同じくしてアルトゥーロ自身にも再起をかけた大きな仕事が舞い込み、コンテストの途中で帰らざるをえない事態に陥る。今や師弟関係以上の絆で結ばれたアルトゥーロとグイド。果たして二人の“夢”は叶えることができるのか......。
フランチェスコ・ファラスキ—[監督・脚本](写真中央)
1961年8月6日、イタリア、グロッセト生まれ。フィレンツェのザ・ヒストリー・オブ・シネマを卒業。これまでに20本以上の短編を監督し、98年の『Quasi Fratelli』で、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞・最優秀短編映画賞を受賞、07年の『Assaggi di cinema』はカンヌ映画祭に出品された。その他、様々なドキュメンタリー映画なども監督し、本作を含み4本の長編映画をこれまでに監督している。長編デビュー作の『Emma sono io』(03)で、イタリアのアカデミー賞であるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞とナストロ・ダルジェント賞で新人監督賞にノミネートされ、サンフランシスコのthe N.I.C.E Festivalでは見事に観客賞を受賞した。
主な代表作
2018 『トスカーナの幸せレシピ』
2011 『Questo mondo è per te』
2007 『Last Minute Marocco』
2003 『Emma sono io』
Director's Note
アルトゥーロは怒りっぽくて喧嘩っ早く感情をうまくコントロールできなかったせいで成功を逃し、“三流店には腕が立ちすぎ、一流店には評判が悪すぎる”シェフだ。そんな彼が、若くて心の優しい情熱に満ちたアスペルガー症候群の料理人の卵グイドと出会う。そしてグイドが挑戦する料理コンテストに指導役として同行しなければならない状況になったとき(そのようなコンテストをアルトゥーロは何より嫌っている)、ふたりのあいだに友情と師弟関係が生まれ、それぞれの人生が変化していく。
アルトゥーロはグイドを特別扱いしたり、同情したりすることはなく、そのままぶつかっていく。それは時々間違っていたりするのだけど、グイドの神経多様性、それは彼が劣っているとかそういうことではなくて、そういうものに直面したときに、アルトゥーロの態度は徐々に変化していき、自分自身の人間性というものを再発見していく。映画を観ている人は、ふたりのうちどちらが誰の付き添いをしているのかわからなくなってしまう瞬間があり、そこで革新的に見方が反転するというストーリーなんだ。出会いの喜劇、爽快な映画、バディ・ムービーとか、この映画の呼び方は色々あると思うけれど、僕らはまずこの映画を、キャラクターを描いた映画として定義したい。キャラクターの感情やポジティブな感情を見せることを恐れない映画なんだ。

  • ヴィニーチョ・マルキオーニ [アルトゥーロ]
    1975年8月10日、イタリア・ローマ生まれ。00年にローマのパフォーミングアーツフリーアカデミーを卒業後、アウレリアーノ・アマデイ監督の『イラクの煙』(未/10)でスクリーンデビュー。本作で、ヴェネチア映画祭・イタリア映画部門で最優秀男優賞(マルキオーニのために特別に再度設けられた賞で、92年のジャン・マリア・ヴォロンテ以来の受賞)を受賞。同映画祭で、他にもビラーギ賞など6部門で同時受賞。翌年、『家への帰り道で』(11/エミリアーノ・コラピ監督)では、フランスのアヌシーイタリア映画祭・最優秀男優賞を受賞した。最近では、ローマ映画祭で上映され、2019年に日本でも公開されたパオロ・ジェノヴェーゼ監督の最新作『ザ・プレイス 運命の交差点』にも出演している。
    主な代表作
    2019 『Dolcissime』
    2017 『ザ・プレイス 運命の交差点』
    2013 『ミエーレ』
    2012 『ローマでアモーレ』
    2012 『ある愛へと続く旅』
    2011 『Cavalli』
    2011 『ブルーノのしあわせガイド』
  • ルイジ・フェデーレ [グイド]
    1998年生まれ。幼い頃から子役として演技を始めた。主に舞台で活躍しながら2010年ヴェネチア映画祭のコンテンポラリー・イタリア映画部門で上映されたアスカニオ・セレスティーニ監督の『La pecora nera』でスクリーンデビューを果たす。2016年ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門で上映されたロアン・ジョンソン監督の『ピューマ』で主演を務めた。
    主な代表作
    2016 『ピューマ』
    2010 『La pecora nera』
  • ヴァレリア・ソラリーノ [アンナ]
    1979年11月4日、ベネズエラ・バルセロナ生まれ。トリノ大学で文学と哲学を学んだ後、舞台で演技のキャリアをスタート。その後、『La felicità non costa niente』(03)で映画デビュー。同じ年にダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞にもノミネートされた『Fame chimica』(03)や『Che ne sarà di noi』(03)に出演。その後も、06年の『Viaggio segreto』では、主演を果たし、08年『Signorina Effe』では、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞最優秀女優賞にもノミネートされた。09年の『Viola di mare』は、カンヌ国際映画祭に出品され、世界的に高い評価を受けた。11年に映画『錆び』で主演。日本でも公開された『いつだってやめられる』シリーズにも連続出演した。
    主な代表作
    2018 『家族にサルーテ!イスキア島は大騒動』
    2017 『いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち』
    2017 『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』
    2014 『いつだってやめられる 7人の危ない教授たち』
    2011 『錆び』
    2011 『昼下がり、ローマの恋』
    2007 『ホテル・ワルツ』