
我来たり、我見たり、我勝利せり
ハネケ、ザイドルを産んだオーストリア映画界新たな鬼才誕生!
本作は、2024年サンダンス映画祭、ミュンヘン映画祭に出品され話題となった。「ユーモアは危険な時にこそ最高に力を発揮する」という信念を持ち、観る者に笑いと怒りを同時に起こさせる『Davos』(未)の監督デュオダニエル・ヘールス、ユリア・ニーマンの日本初公開作品だ。製作は、カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界三大映画祭を賑わせた『パラダイス三部作』『サファリ』のウルリヒ・ザイドル。金持ちのアンタッチャブルさを極限まで誇張し、歯止めがないシステムの結末と、人々が自分の行動に責任を持たない世界の危険性を明らかにする。
富を持つ者は自由に好きなように行動し、誰にもどうすることもできない。マキャベリストの家族研究では、金持ちが親切で与えるふりをするのと同じくらい、恐ろしく暴力的になりうるという。恐ろしいほど不快なこの物語は私たちのすぐ隣にある物語なのだ。
主人公はエレガントな億万長者であり、愛情深いファミリーマンで、趣味の狩に情熱を注いでいる。しかし、アマンが狩るのは動物ではない。莫大な富を抱えた一家は“何”だって狩ることが許されるのだ。アマンは狩りと称し、無差別に“人間”を狩り続けている。一方娘のポーラはそんな父の傍若無人な姿を目の当たりにしながら“上級国民”としてのふるまいを着実に身につけていく。ある日、ポーラは父に“狩り”に行きたいと言い出す。しかし、“上級国民”である彼を止められるものは何もない。何者も彼らをを止めることはできない。他人の言葉でも、ジャーナリズムの証拠でも、民主主義の法律でも。今あるのは自由だけだ。限界も不可能もなく、暴力もない。
我来たり、我見たり、我勝利せり
監督:ダニエル・ヘースル、ユリア・ニーマン
製作:ウルリヒ・ザイドル
出演:オリヴィア・ゴシュラー、ウルシーナ・ラルデ、ローレンス・ルップ、マルクス・シュラインツァー、ゾーイ・シュトラウプ
2024年/オーストリア映画/ドイツ語/86分/カラー/5.1ch/スコープサイズ/原題:Veni Vidi Vici 字幕翻訳:吉川美奈子 後援:オーストリア文化フォーラム東京 映倫PG12 ©2024 Ulrich Seidl Filmproduktion GmbH
配給:ハーク 配給協力:フリック
www.hark3.com/vvv
6/6(Fri) 公開
ヒューマントラストシネマ有楽町
ヒューマントラストシネマ渋谷
新宿武蔵野館ほか全国順次公開