2023年1月20日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA他全国順次公開

母の聖戦

INTRODUCTION
  • ダルデンヌ兄弟×クリスティアン・ムンジウ×ミシェル・フランコ共同プロデュース
    メキシコの実話をベースに、巨大化された「誘拐ビジネス」の闇に迫った衝撃作
    身代金目的の誘拐という犯罪は、極めて成功率が低いうえに刑罰が重いことから、俗に“割に合わない犯罪”と言われるが、中米のメキシコではそのような常識は一切通用しない。犯罪組織による誘拐ビジネスが横行するこの国では、2020年に826件の誘拐事件が報告されている。ただし、治安当局への届出を前提とするこの件数はうのみに出来ない。同国の国立統計地理情報院によると、届出率はわずか1.4%。実際には年間約6万件にもおよぶ誘拐事件が頻発していると推定され、多くの庶民が組織の報復を恐れて泣き寝入りを強いられている。日本では知られざるメキシコの誘拐ビジネスの闇に迫った『母の聖戦』は、ルーマニア生まれでベルギーを拠点に活動するテオドラ・アナ・ミハイ監督の劇映画デビュー作。犯罪組織に誘拐された娘を奪還するため、命がけの闘争に身を投じた女性の実話をベースに、ごく平凡なシングルマザーの主人公がたどる想像を絶する運命を映し出す。
    この3ヵ国合作の野心的な国際プロジェクトは、名だたる映画人のサポートによって実現した。現代のヨーロッパを代表する名匠のダルデンヌ兄弟、『4ヶ月、3週と2日』でカンヌ映画祭パルムドールに輝いたルーマニア・ニューウェーヴの重要監督クリスティアン・ムンジウ、『或る終焉』『ニュー・オーダー』で知られるメキシコの俊英ミシェル・フランコがプロデューサーとして参加。ワールドプレミアとなった第74回カンヌ国際映画祭で大反響を呼んだ本作は「ある視点」部門で勇気賞を受賞し、第34回東京国際映画祭では審査委員特別賞を受賞した。
  • センセーショナルな社会派劇×緊迫感みなぎるクライム・スリラー
    このセンセーショナルにして骨太な社会派ドラマは、並外れた緊迫感がみなぎるクライム・スリラーでもある。全編にわたって主人公シエロの視点でストーリーが展開する本作は、観る者を誘拐ビジネスの闇の奥深くへと誘い、この世のものとは思えない理不尽な暴力が渦巻く光景を目撃させていく。ドキュメンタリー出身であるミハイ監督の、リアリスティックな眼差しに貫かれた映像世界の強度に息をのまずにいられない。ハンディカメラのショットを織り交ぜ、濃密なサスペンスの創出に貢献した撮影監督は、ラドゥ・ジューデ監督の問題作『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』などに携わってきたルーマニア人のマリウス・パンドゥルである。
    主演を務めたアルセリア・ラミレスは、キャリアの初期に出演した『赤い薔薇ソースの伝説』から、Netflixドラマ・シリーズの近作「ザ・クラブ」まで長きにわたってメキシコで活躍している実力派女優。とめどもない不安と喪失感に打ちひしがれた母親が、あらゆる苦難もいとわない不屈の捜索者、さらには怒りの復讐者へと変貌していく様を迫真の演技で体現した。
  • 戸惑い、焦り、愛情、怒り、そして戦う母へ    
    自らの命に代えてでも、我が子の奪還を誓った母親の、想像を絶する愛と執念の物語
    入念なリサーチを重ねて本作に取り組んだミハイ監督は、決して裕福ではない庶民が犯罪組織に搾取され、警察にも取り合ってもらえない非情な現実を描き出す。ある日突然、娘を誘拐された主人公シエロが容赦なく身代金をむしり取られ、たちまち孤立無援の極限状況に陥っていく導入部からしてショッキングだ。しかし、驚くのはまだ早い。誰にも頼れないことを悟ったシエロは、危険を顧みず犯罪組織への監視、追跡を行い、軍をも巻き込んで娘の捜索を繰り広げていく。その凄まじい執念の源である“母性愛”こそは、ミハイ監督が追求したもうひとつの重要なテーマである。
ダルデンヌ兄弟×クリスティアン・ムンジウ×ミシェル・フランコ共同プロデュース
メキシコの実話をベースに、巨大化された「誘拐ビジネス」の闇に迫った衝撃作
身代金目的の誘拐という犯罪は、極めて成功率が低いうえに刑罰が重いことから、俗に“割に合わない犯罪”と言われるが、中米のメキシコではそのような常識は一切通用しない。犯罪組織による誘拐ビジネスが横行するこの国では、2020年に826件の誘拐事件が報告されている。ただし、治安当局への届出を前提とするこの件数はうのみに出来ない。同国の国立統計地理情報院によると、届出率はわずか1.4%。実際には年間約6万件にもおよぶ誘拐事件が頻発していると推定され、多くの庶民が組織の報復を恐れて泣き寝入りを強いられている。日本では知られざるメキシコの誘拐ビジネスの闇に迫った『母の聖戦』は、ルーマニア生まれでベルギーを拠点に活動するテオドラ・アナ・ミハイ監督の劇映画デビュー作。犯罪組織に誘拐された娘を奪還するため、命がけの闘争に身を投じた女性の実話をベースに、ごく平凡なシングルマザーの主人公がたどる想像を絶する運命を映し出す。
この3ヵ国合作の野心的な国際プロジェクトは、名だたる映画人のサポートによって実現した。現代のヨーロッパを代表する名匠のダルデンヌ兄弟、『4ヶ月、3週と2日』でカンヌ映画祭パルムドールに輝いたルーマニア・ニューウェーヴの重要監督クリスティアン・ムンジウ、『或る終焉』『ニュー・オーダー』で知られるメキシコの俊英ミシェル・フランコがプロデューサーとして参加。ワールドプレミアとなった第74回カンヌ国際映画祭で大反響を呼んだ本作は「ある視点」部門で勇気賞を受賞し、第34回東京国際映画祭では審査委員特別賞を受賞した。
センセーショナルな社会派劇×緊迫感みなぎるクライム・スリラー
このセンセーショナルにして骨太な社会派ドラマは、並外れた緊迫感がみなぎるクライム・スリラーでもある。全編にわたって主人公シエロの視点でストーリーが展開する本作は、観る者を誘拐ビジネスの闇の奥深くへと誘い、この世のものとは思えない理不尽な暴力が渦巻く光景を目撃させていく。ドキュメンタリー出身であるミハイ監督の、リアリスティックな眼差しに貫かれた映像世界の強度に息をのまずにいられない。ハンディカメラのショットを織り交ぜ、濃密なサスペンスの創出に貢献した撮影監督は、ラドゥ・ジューデ監督の問題作『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ 監督〈自己検閲〉版』などに携わってきたルーマニア人のマリウス・パンドゥルである。
主演を務めたアルセリア・ラミレスは、キャリアの初期に出演した『赤い薔薇ソースの伝説』から、Netflixドラマ・シリーズの近作「ザ・クラブ」まで長きにわたってメキシコで活躍している実力派女優。とめどもない不安と喪失感に打ちひしがれた母親が、あらゆる苦難もいとわない不屈の捜索者、さらには怒りの復讐者へと変貌していく様を迫真の演技で体現した。
戸惑い、焦り、愛情、怒り、そして戦う母へ    
自らの命に代えてでも、我が子の奪還を誓った母親の、想像を絶する愛と執念の物語
入念なリサーチを重ねて本作に取り組んだミハイ監督は、決して裕福ではない庶民が犯罪組織に搾取され、警察にも取り合ってもらえない非情な現実を描き出す。ある日突然、娘を誘拐された主人公シエロが容赦なく身代金をむしり取られ、たちまち孤立無援の極限状況に陥っていく導入部からしてショッキングだ。しかし、驚くのはまだ早い。誰にも頼れないことを悟ったシエロは、危険を顧みず犯罪組織への監視、追跡を行い、軍をも巻き込んで娘の捜索を繰り広げていく。その凄まじい執念の源である“母性愛”こそは、ミハイ監督が追求したもうひとつの重要なテーマである。
STORY
メキシコ北部の町で暮らすシングルマザー、シエロのひとり娘である十代の少女ラウラが犯罪組織に誘拐された。冷酷な脅迫者の要求に従い、20万ペソの身代金を支払っても、ラウラは帰ってこない。警察に相談しても相手にしてもらえないシエロは、自力で娘を取り戻すことを胸に誓い、犯罪組織の調査に乗り出す。そのさなか、軍のパトロール部隊を率いるラマルケ中尉と協力関係を結び、組織に関する情報を提供したシエロは、誘拐ビジネスの闇の血生臭い実態を目の当たりにしていく。人生観が一変するほどのおぞましい経験に打ち震えながらも、行方知れずの最愛の娘を捜し続けるシエロは、いかなる真実をたぐり寄せるのか……。
DIRECTOR
Director:Teodora Ana Mihai
監督:テオドラ・アナ・ミハイ
チャウシェスク政権下のブカレスト生まれ。1989年、前年からベルギーに逃れていた両親の元に移る。カリフォルニア州のサンフランシスコの高校に通う間に映画への強い愛情が生まれ、ニューヨーク州北部のサラ・ローレンス大学で映画を学ぶ。ベルギーに戻ると、スクリプターと助監督として映画業界でキャリアをスタートさせる。数年間様々な作品の制作に携わった後、自分の作品を撮ろうと決心する。デビュー作となるドキュメンタリー映画「Waiting for August」は、10以上の国際的な賞を受賞(カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭とホット・ドクス・カナディアン・インターナショナル・ドキュメンタリー・フェスティバルでは最優秀長編ドキュメンタリー賞を受賞)し、後にヨーロッパ映画賞にノミネートされると、テオドラは初のフィクション長編映画『母の聖戦』を監督する。メキシコが舞台の『母の聖戦』の脚本を書くにあたり、Torino Film LabのScript Labプログラムの一環として、受賞歴のあるメキシコ人小説家アバクク・アントニオ・デ・ロザリオと組む。また、2017-2018年冬のシネフォンダシオン(次世代の国際映画製作者を支援する)のプロジェクトの参加者に選ばれた。テオドラの映画は社会問題と詩的な美しさの間を上手く両立させるという挑戦を試みている。
DIRECTOR'S NOTE
このストーリーは、あるメキシコ人の女性が私に打ち明けてくれたもので、彼女は(主人公シエロと)非常に似た経験をして、それが本作の基になっている。彼女はある日私に「毎朝、起きるたびに、この拳銃で自殺するか、人を撃ちたいと思う。そういう風に私は毎朝感じている」と言ったの。この言葉を聞いて私は頬をひっぱたかれた気持ちだった。何が理由でこんな風に過激な結論に至ってしまうのだろうということが知りたかった。特に、暴力的な特性を全く持つことのないメキシコ人の女性がね。
こうして私たちは彼女と共に旅を始めたの。彼女は自分の身に起きた事を詳しく教えてくれて、捜索中そして戦闘中の彼女を撮影し始めることにした。当初はドキュメンタリーを想定していた。
私は、このストーリーをできるだけリアルに伝えて、それをできるだけ多くの世界中の観客にシェアしたいと思った。そして彼女も私にはそれができると信じてくれて、良い方向に変わっていくためには世界中の人にこのストーリーを知ってもらうことが必要だとも思ってくれた。これが、『母の聖戦』とその強力な主人公シエロに生命を与えたクリエイティブな火花だった。

彼女に密着し始めてその生活を記録していると、観察する形式のドキュメンタリーを撮るには険しい道のりだということがわかった。その地域はとても危険だったし、映画を撮ることや、多くのセンシティブな情報を扱っていることで厳しく検閲を受けていると感じた。だから、それまでの2年半で集めた価値のあるリサーチ資料を使ってフィクションのストーリーを書くという決断を下したの。この母親は、地元の麻薬カルテルのせいで被害者から加害者へと立場が変わってしまった。彼女はいかにして娘を失ったのか、また絶望の末いかにして自力で解決しようと決意したのか。そして、最初に彼女を被害者にした悪意に満ちた暴力の渦の中に、いつのまにか自分がいることに気が付いたことを話してくれた。
この皮肉は私の胸に突き刺さって、そこに私が世界と共有したい重要なメッセージが存在しているとわかった。2017年5月10日、私が密着していた母親ミリアム・ロドリゲスが自宅の前で残酷に殺されたと聞いたとき、私がどれだけショックを受けたのかは理解してもらえると思う。あれはメキシコの母の日だった。彼女とその他多くの犠牲になった方々へのリスペクトから、この映画がポジティブな変化をもたらすことを願っている。
CAST
Arcelia Ramírez
アルセリア・ラミレス/シエロ、母
アルセリア・ラミレス
シエロ、母
Centro Universitario de Teatro de la UNAM卒業後映画、TV、劇場と幅広く活躍し、メキシコで最も忙しく、最も多方面で活躍している女優。彼女の100作品ほどの映画、TV出演には、Netflixのオリジナルシリーズ「ザ・クラブ」、2020年サンダンス映画祭で観客賞を受賞した『君がそばにいたら』の主演のひとり、2017年のNetflixが獲得したサイコロジカル・スリラー『エクリプス』、2000年カンヌ映画祭のある視点部門で封切られたアルトゥーロ・リプスタイン監督のドラマ映画「Such Is Life」の主演がある。リプスタインは、セネカの「メデア」を力強く解釈した本作の後、アルセリアを自身のミューズのひとりとしている。リェリダ・ラテンアメリカ映画祭、グアダラハラ国際映画祭といった、多くの映画祭で最優秀女優賞にノミネート、受賞の経験がある。メキシコ本国で人気のテレノベラ(テレビの連続メロドラマ)への出演でもよく知られている。現代のメキシコを生きる4人の女性の挑戦を描いたヒット作「ベンセル・エル・ミエド」などがある。
Álvaro Guerrero
アルバロ・ゲレロ/グスタボ、シエロの前夫
アルバロ・ゲレロ
グスタボ、シエロの前夫
メキシコを代表する俳優。代表作には「Montecristo」「La Mujer de Judas」、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の『アモーレス・ペロス』がある。「De Noche Vienes Esmeralda」「Otilia」「El Anzuelo」「Eddie Reynolds y Los Ángeles de Acero」といった映画に出演。TVシリーズへの出演も多く、「Capadocia」「El César」に出演。Netflixのオリジナルドラマ「Falsa Identidad」のIgnacio Salas役で有名。最近では『ダンス・オブ・41』でFelipe役を演じている。現在はNetflixとテレムンド(アメリカのスペイン語テレビ局)で「インゴベルナブレ」が放送中。
Jorge A. Jimenez
ホルヘ・A・ヒメネス/ラマルケ中尉
ホルヘ・A・ヒメネス
ラマルケ中尉
コアウイラ州サラゴサ出身のメキシコ人俳優。アメリカのテキサスで演技を学び、舞台演出・監督で学位を取得し卒業。最初の出演作にして主要な役柄を得たのは2006年の映画「Clemente」だ。それ以来、映画やTVシリーズなど主にアメリカで30以上の作品に携わる。ボストン、オースティン、サンアントニオなどの映画祭でいくつかの主演男優賞を受賞している。ホルヘA・ヒメネスは、ギジェルモ・アリアガ、ロバート・ロドリゲス、ジョゼ・パジーリャ、ギレルモ・ナヴァロ、フェルナンド・コインブラ、デヴィッド・ボイド、フィリップ・グスマン、マイケル・ドワイヤー、チャールズ・バーマイスターといった重要な映画監督の作品に数多く出演してきた。
CREDIT
CAST
シエロ:アルセリア・ラミレス
グスタボ:アルバロ・ゲレロ
ロブレス:アイエレン・ムソ
ラマルケ中尉:ホルヘA・ヒメネス
プーマ:ダニエル・ガルシア
キケ:エリヒオ・メレンデス
イネス司令官:アレッサンドラ・ゴーニ
ロシ:バネサ・ブルシアガ
リサンドロ:マヌエル・ビジェガス
ラウラ:デニッセ・アスピルクエタ 
プーマの母親:メルセデス・エルナンデス
STAFF
監督:テオドラ・アナ・ミハイ
脚本:アバクク・アントニオ・デ・ロザリオ&テオドラ・アナ・ミハイ
撮影:マリウス・パンドゥル
編集:アラン・デソヴァージュ
ラインプロデューサー:サンドラ・パレデス
美術:クラウディオ・ラミレス・カステッリ
  衣装: バーサ・ロメロ
メイク:アルフレド・ガルシア
音響: マニュエル・ダノイ、フェデリコ・ゴンザレス・ホルダン、ヴァレリー・レ・ドクト
音楽: ジャン=ステファヌ・ガルベ
キャスティング: ビリディアナ・オルヴェーラ
製作者:ハンス・エヴァラエル
共同製作者(ベルギー):ダルデンヌ兄弟、デルフィーヌ・トムソン、テオドラ・アナ・ミハイ
共同製作者(ルーマニア):クリスティアン・ムンジウ、チューダー・レウ
共同製作者(メキシコ):ミシェル・フランコ、エレンディラ・ヌニェス・ラリオス
2021年/ベルギー・ルーマニア・メキシコ合作/135分/カラー/スペイン語/5.1chデジタル/ビスタサイズ/
原題:La Civil  字幕翻訳:渡部美貴  配給:ハーク 配給協力:FLICKK
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COMMENT
『母の聖戦』は私たちを突き落とす。
現代メキシコに存在するカルテルの容赦ない暴力と、警察の腐敗という闇に。
そして、それらに立ち向かうひとりの女性、母がいる。
彼女の確固たる信念、勇気は私たちの心を奪って離さない。
こんなことは映画でそうそう起こることじゃない。
ダルデンヌ兄弟
映画監督
共感は国境を超えるということを『母の聖戦』は証明してみせた。
ルーマニア生まれのベルギー人女性監督は、メキシコを舞台に
母の愛情、勇気、そして自由の物語を新たな切り口で語る。
映画はじりじりと続く緊張感と予測不能な驚きの展開に溢れている。
クリスティアン・ムンジウ
映画監督
麻薬カルテルに対する掃討作戦によって激化し、
結果的に多くの民間人をも巻き込む多大な被害を
出し続けている、いわゆる「メキシコ麻薬戦争」を
題材とする映画の中でも更に異色を放つ作品だ。
強烈なリアリティによって見る者を圧倒する、
ある意味ドキュメンタリー以上の説得力を持つ力作。
市山尚三
東京国際映画祭プログラミング・ディレクター
格差と腐敗が日常化した社会では、
ただ慎ましく平穏に人間らしく生きることが難しい。
不安のなか、生き延びるために多くの人が
自分をごまかし、偽りに満ちた人生に甘んじる。
稀にその罠から勇気を持って抜け出し、
真実を求め闘うのは、普通の市民。信念に目覚めた母親だ。
が、そんな彼女も、暴力と無縁でいることは難しい。
工藤律子
ジャーナリスト
母親シエロは、娘を捜して一人で闘った。
その闘った相手は誘拐犯だけではない。
孤独だったが、崇高な闘いだった。
そして、彼女の願いは最後に届いたのか、
届かなかったのか……。
スクリーンで、シエロと一緒に娘と真実を捜してほしい。
綿井健陽
ジャーナリスト・映画監督
身代金誘拐が、年間で6万人!
想像もつかないメキシコ社会の実態をまざまざと見せられ、
その恐ろしい混沌が明るい陽光と重なって目が眩む……。
母のほとばしる激情と怒りに緊迫しっぱなしの2時間あまりだった。
佐々木俊尚
作家・ジャーナリスト
周囲の人や果ては軍関係者までも巻き込んで、
母は誘拐された娘を救おうと奔走する。
しかし、それを上回る残酷な悪意と冷徹な社会が彼女の行手を阻む。
現実では『96時間』のように事は運ばない。
ひたすら孤独で恐ろしく、
そして虚しい戦いが描かれている。
人間食べ食べカエル
人喰いツイッタラー
メキシコで起きている日本では考えられない誘拐ビジネス。
次々に起こる理不尽な出来事、何も出来ないもどかしさ、
今の環境がどれだけ恵まれているかを再実感。
日本に住んでいたら絶対に知り得ないような
悲惨な出来事が毎日の様にメキシコで起きている事を知り、
何か小さな事でも自分達ができる事を探すキッカケになる映画でした。
この現実を1人でも多くの人に知ってほしい。
EXIT JACK マンペー
旅系Youtuber