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芳醇なワインのごとく持ち味を深めた、
“英国紳士”の爆笑グルメトリップはまだまだ続く
イギリスのショービジネス界で活躍するスティーヴ・クーガンとロブ・ブライドンが、グルメ取材の旅に出る人気シリーズ待望の新作『スペインは呼んでいる』がついに日本公開。前作『イタリアは呼んでいる』が日本でも大ヒットし話題となった。今回は舞台をスペインに移し北はバスク、南はアンダルシアまで地中海を目指し、レンジローバーで旅をする。カミーノ・デ・サンティアゴの巡礼ルートでは風光明媚な田園風景が、そして世界遺産の街クエンカやイスラム文化が色濃く残るグラナダなど一度は訪れたい観光名所が、極上の料理やワインと共に五感を楽しませてくれる。仕事も人生も成功しているふたりだが、恋人のこと、離れて暮らす息子との関係など悩みはつきない。5泊6日の旅を終える頃、スティーヴはある決断をロブに伝えるのだが…。人生の岐路に立つ中年男性が旅の終わりに気づく本当に大切なものとは。
美食とカルチャーを味わう1000マイル、
珠玉のロードムービー
ふたりはスペイン各地の知る人ぞ知るレストランで舌鼓を打ち、宿泊するのはすべてパラドールと呼ばれる古城や修道院を改装したホテルだ。また世紀を跨ぐベストセラー「ドン・キホーテ」や、イギリスを代表する作家でありジャーナリストのジョージ・オーウェル、「スペイン放浪記―ある夏の朝、ふと旅に出て」のローリー・リーをテーマに監督のマイケル・ウィンターボトムはプロデューサーとリサーチを重ね、なんと60ページに及ぶ撮影資料を作成。旅を彩る音楽は監督と縁の深いマイケル・ナイマンの代表曲の数々。美食の聖地バスクから、古都アラゴン、ワインの名産地リオハ、太陽海岸コスタ・デル・ソルまで1000マイルを移動する、ドン・キホーテとサンチョ・パンサのようなふたりの珍道中は、スペインに関する食と文化の細やかな知識で、観る者の知的好奇心を刺激し楽しませてくれる。
一流のエンターテイナーが贈る
虚実織り交ざった会話に酔いしれる
スティーヴ役にはコメディアンとして活躍しながら『あなたを抱きしめる日まで』のアカデミー賞®脚色賞にノミネートされたスティーヴ・クーガン。ロブ役には七色の声を操るというイギリスを代表する人気コメディアンのロブ・ブライドン。実生活でも親しいふたりから繰り出される、マーロン・ブランド、アンソニー・ホプキンス、ミック・ジャガー、デヴィッド・ボウイなど大スターのモノマネや、アドリブだらけのウィットに富んだ会話は、お約束の抱腹絶倒。監督は『ひかりのまち』『天使が消えた街』などを手掛け、『イン・ディス・ワールド』でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したマイケル・ウィンターボトム。本作は『スティーヴとロブのグルメトリップ』、『イタリアは呼んでいる』に続く大ヒットシリーズの第三弾。イギリスでの公開当時、ウィンターボトム監督は続編は絶対ないと断言していたが、すでにギリシャを舞台にした第四弾が製作準備中である。「『ビフォア・シリーズ』みたいになるんじゃないかな。二人が死ぬまで続きそうだ」(INTERVIEW誌14年)と『ROMA/ローマ』のアルフォンソ・キュアロン監督に言わしめた大人気シリーズはまだまだ続く!?
イギリスの人気コメディアンで俳優のスティーヴ・クーガンは、ニューヨーク・タイムズからスペイン中を旅して書くグルメ記事の連載依頼を受ける。スティーヴは前回のイタリアへの旅にも同行してくれた旧友のロブ・ブライドンを誘う。今回の旅はスペインの北部から地中海に面するマラガまで約1,000マイルを南下する予定だ。

サンタンデールに到着後、ふたりは世界屈指の美食の街サン・セバスチャンから25キロほど西にあるゲタリアで地元の海産物を味わう。食事をしながらふたりはスティーヴのガールフレンドの事、執筆している本、そして50代の自分たちの近況について話しながらも、ミック・ジャガーやマイケル・ケインなどのモノマネ合戦も忘れない。この日、スティーヴはエージェントのマットが自分に告げずに辞めてしまったことを知る。そして夜の街をジョギングするロブをよそに、スティーヴはバルに繰り出していた。
翌日ふたりは、バスク地方の有名レストラン「アサドール・エチェバリ」に向かう。水牛のチーズや自家製チョリソーなど地元ならではの素材をふんだんに使用したテイスティングコースを味わいながら、スパイ映画の一幕のようなコントでふざけ合う。その後、ふたりを乗せた車はのどかな田園風景が広がるカミーノ・デ・サンチアゴの巡礼ルートを辿り、ソス・デル・レイ・カトリコの街へと移動する。
水曜日。朝、ふたりはリオハへと移動する。上質なワインの産地であるリオハは、恐竜の化石の街としても有名である。スティーヴは赤ちゃんだったクロエが、恐竜好きと聞いて時が経つ速さに驚愕。この日の宿泊先は歴史的な街として知られるシグエンサにあるパラドール。寝室でスティーヴはアメリカのエージェントに電話をするが、自分が書いた新作映画の台本に新人の脚本家を付けられ腹を立てる。
木曜日。シグエンサを出発し、崖の上に作られた世界遺産の街クエンカを目指して南下。街で出会ったストリート・ミュージシャンからグルメトリップに関するアドバイスを受けるが、自尊心を傷つけられたスティーヴは、へそを曲げホテルへと帰ってしまう。ホテルでロブは妻のサリーに電話で、スティーヴの元エージェントであるマットからアプローチの連絡が来たことを話す。一方スティーヴはNYにいるガールフレンドのミーシャをスペインに来るように誘う。

金曜日。ふたりはスティーヴのアシスタントのエマと、カメラマンのヨランダと合流するためラ・マンチャへと向かう。写真撮影と食事を終えたスティーヴは、旅に合流する予定の息子のジョーにスカイプで連絡をするが、ガールフレンドが妊娠したためにスペインに行けなくなったと告げられショックを受ける。翌日、ロンドンに戻るエマとはここで別れ、残った3人で旅の最終目的地マラガへと向かう。スティーヴはこの後もひとりで旅を続ける決心をし、ロブたちとマラガで別れることにする。別れ際、ロブはスティーヴに映画『カサブランカ』の名セリフ「友情の始まりだな」と告げハグをして去っていく。ひとり旅を続けるスティーヴは、再びミーシャにスペインに来てほしいと電話をするが、全く予期しないニュースを伝えられる…。

スティーヴ・クーガン[スティーヴ]
1965年10月14日、マンチェスター生まれ。マンチェスター・ポリテクニック演劇学校で演技を学ぶ。ドラマスクール卒業後、「Spitting Image」でモノマネ役者、コメディ俳優としてキャリアをスタートさせる。BBCラジオの「On the Hour」(91-91)で毒舌スポーツ記者役のアラン・パートリッジが誕生する。このキャラクターはラジオからテレビへと活躍の場を移し、数年にわたってBAFTA(英国アカデミー)賞や英国コメディ賞をたびたび受賞。2016年に放送されたシリーズ最新作「Mid Morning Matters」は批評家たちから絶賛され、同年5月にはドキュメンタリー「Scissored Isle」が放送される。同年10月にはアラン・パートリッジの二冊目の書籍「Alan Partridge: Nomad」が出版された。本シリーズの出発点となるTVシリーズ「The Trip」(10,14)でBAFTAの主演男優賞(コメディ番組部門)を受賞。テレビと映画を合わせて、スティーヴは6つのBAFTA賞を、7つの英国コメディ賞を受賞している。映画出演作品には、『24アワー・パーティ・ピープル』(02)、『トリストラム・シャンディの生涯と意見』(05)、『ナイト ミュージアム』シリーズ(06,19,14)、『トロピック・サンダー 史上最低の作戦』(08)、『Mr.スキャンダル』(13)、『怪盗グルーのミニオン危機一髪』(13)、『怪盗グルーのミニオン大脱走』(17)、『あなたを抱きしめる日まで』(13)、『僕たちのラストステージ』(18)などがある。スティーヴン・フリアーズ監督の『あなたを抱きしめる日まで』(13)ではジェフ・ポープと共に脚本も手掛け2014年にBAFTAで脚色賞を受賞、BAFTA他二部門でノミネート、さらにアカデミー賞®4部門ノミネートを果たす。
ロブ・ブライドン[ロブ]
1965年5月3日、ウェールズ南部のスウェンジー生まれ。王立ウェールズ音楽演劇大学で演技を学ぶ。BBCウェールズラジオとTVの司会者を経て、90年台初頭にロンドンへと移る。TVシリーズ「Human Remains」(00)と「Marion&Geoff」(00-03)で注目を集め、英国コメディ賞を2度受賞。以来、敬愛するスティーヴ・クーガン主演の「I’m Alan Partridge」の1話(02)や「ミス・マープル パディントン発4時50分」(04)、「リトル・ブリテン3」(05)など多くのTVシリーズやドラマに出演。近年のTV出演作に、本作の元になったシリーズ「The Trip」(10,14)、自身の名を冠した「The Rob Brydon Show」(11)などがある。多彩な声色を自在に使い分け、ナレーターや吹替声優としても活躍している。映画出演作にはスティーヴ・クーガンと共演した『24アワー・パーティ・ピープル』(02)、『トリストラム・シャンディの生涯と意見』(05)や『ロック、ストック&スモーキン・バレルズ』(98)、『シンデレラ』(15)などがある。2013年に大英帝国勲章を叙勲。
クレア・キーラン[エマ]
幅広く活躍し成功を収めているイギリス人女優。マイケル・ウィンターボトム作品には『スティーヴとロブのグルメトリップ』(10)、『トリストラム・シャンディの生涯と意見』(05)、『イタリアは呼んでいる』(14)にも出演しており、本作でスティーヴとロブとは3度目の共演になる。その他の出演作品には『Hush』(08)、『Kelly&Victor』(12)、「名探偵エルキュール・ポアロ」(89〜)などがある。
マイケル・ウィンターボトム監督
1961年3月29日、イングランドのブラックバーン生まれ。オックスフォード大学で英文学を専攻後、ブリストル大学で映画を学ぶ。「心理探偵フィッツ」(93-96)の2話などTVシリーズの監督を経て95年、女性二人が主人公の異色犯罪映画『バタフライ・キス』(95)で長編映画デビューを果たす。同年、TV向けに監督した『GO NOW』(95)も各地の映画祭で高い評価を得る。以来、文芸ものからSFまで幅広い作品を発表し、『イン・ディス・ワールド』(02)でベルリン国際映画祭金熊賞、衝撃の実録ドラマ『グアンタナモ、僕たちが見た真実』(06)で同映画祭監督賞を受賞。その他の代表作に『アイ ウォント ユー』(98)、『ひかりのまち』(99)、『24アワー・パーティ・ピープル』(02)『キラー・インサイド・ミー』(10)、『いとしきエブリディ』(12)『ミスター・スキャンダル』(13)などがあり、イギリスを代表する監督の一人である。最新作の『Greed』(19)で再びスティーヴ・クーガンとタッグを組んだ。シリーズ最新作の『The Trip to Greece』も現在製作準備中だ。
バスクから始まりマラガまで、同じルートを旅してみたくなりました。
歴史的建造物を利用した“パラドール”に滞在しながら、その土地の食とワインを味わい、広大な自然と歴史、文化を感じながら時間を過ごす旅…
田崎真也
ソムリエ
セレブグルメ旅同行して悲喜こもごもの旅をリアルに楽しんでいるような錯覚に。
ラストには思わず声を上げてしまった!
松尾貴史
俳優
結局のところ、旅と美食こそが悲しみを麻痺させ、人生を甘美なイメージでいっぱいにさせる。
この映画は、勘違いしがちな50歳からの第二の人生の味わい方を、間違いのないお店選びから紐解く、究極のグルメ旅ガイドだ。
中村孝則
コラムニスト・「世界ベストレストラン50」チェアマン
ロードムービーとしてだけでなくスペイン旅の楽しみ方の手引きとしても良い作品。
どこで誰と何を食べどう過ごすか、一週間毎日変わる舞台と二人の関係にすっかり引き込まれ、映画館を出る頃にはスペイン旅の計画を練っているはず…
前田哲郎
アサドールEtxebarri 料理人
※「世界ベストレストラン50」2019年度第3位
砂埃が巻き上がる中、赤土の大地をドライブしたことを思い出した。
世界遺産もグルメもパラドールも、あこがれのスペイン旅がここにある。
せわしない日常を抜け出して気の合う仲間と出かけたくなる作品。
久保美智代
旅する世界遺産研究家
スペインはフラメンコや闘牛だけではない。
初めて目にする風景の美しさに、改めてスペインの魅力を感じた。
人は何度同じ地を訪ねても、重ねた年齢によって見えてくる景色が変化する。
それが旅の面白さの一つだと思う。
沖仁
フラメンコギタリスト
ホテルの部屋の鎧戸を開けた瞬間、窓の向こうに広がる絶景。
気持ちよさそうなテラス席の朝食。
ワンシーンを見ただけで「行ってみたい!」と思うホテルが続々登場。
「ああ!食べてみたいっ!」と身悶えする料理シーン。
ホテル&グルメジャンキーは必見です。
村瀬千文
ホテルジャンキーズクラブ代表
美しい音楽にのせて、中年男たちの車が乾いた大地を駆け抜ける。
その映像はどこか、渋みのきいた、こっくりと輝くスペインの赤ワインを思わせる。
人の手が造るワインだからこそ、グラスの中に人生が滲んでしまうのだろう。
滝澤麻衣
ワイン雑誌「ワイナート」編集部
これはスペイン版「やじきた珍道中」。
英国を代表する俳優/コメディアン二人によるかけあいはまるで落語の名人芸。
世界遺産の絶景や魅力的なホテル、世界のグルメ通をうならせる美食レストランがコース料理のように次々と。
今すぐ旅に出たいっ!
寺田直子
トラベルジャーナリスト
※順不同、敬称略