LGBTQの権利保障に前向きに動き、同性婚も認められているブラジル。その一方、トランスジェンダーの中途退学率は82%、そして平均寿命は35歳と言われている。いまだ根強く残る差別による事件の数々。トランスジェンダーの少女が、ただ自分自身として学校生活を送りたいというごくシンプルな望みすら実現することの難しさをリアルに描き、自分の居場所を探し、あるがままでいることの力強さを描いた本作。
ヴァレンティナ役は自身もトランスジェンダーであり、著名なYouTuberでインスタグラマーとしても活躍中のティエッサ・ウィンバックが演じる。監督はショートショートフィルムフェスティバル&アジア2009でオーディエンス・アワードを受賞した『秘密の学校』(08)のカッシオ・ペレイラ・ドス・サントス。苦しい状況の中でも若いトランスジェンダーたちにとって希望のある物語を贈りたいという監督の想いから生まれた、未来に捧げる一作。
ヴァレンティナ役は自身もトランスジェンダーであり、著名なYouTuberでインスタグラマーとしても活躍中のティエッサ・ウィンバックが演じる。監督はショートショートフィルムフェスティバル&アジア2009でオーディエンス・アワードを受賞した『秘密の学校』(08)のカッシオ・ペレイラ・ドス・サントス。苦しい状況の中でも若いトランスジェンダーたちにとって希望のある物語を贈りたいという監督の想いから生まれた、未来に捧げる一作。
監督のカッシオとプロデューサーのエリカがこのプロジェクトを始めたのは、まだトランスジェンダーに関する映画が出始めだした2013年のことだった。1本目の長編監督作でありプロデュース作でもあるこの作品の出資を募るまで数年が掛かった。2019年5月に撮影を開始。カッシオとエリカ自身もLGBTQであり彼らがトランスジェンダーを映画のテーマとしたのは、このような人物たちが社会においてもっと認識されるべきだという望みからであった。保守的な社会の中で、特に極右政権が国を司る地球の裏側のブラジルで、カッシオはこの映画によって観客たちが繋がり、インクルージョンとリスペクトという今まさに必要な議論に貢献してほしいと思ったのだ。『私はヴァレンティナ』は十代、そして若い世代のために作った映画である。
そこで通称名が認められなかったときの絶望と不安、
それでも私を受け入れようとしてくれた友人たちの温かさを思い出した。
トランスジェンダーの平均寿命35歳の国で堂々と真実を描いた製作者たちに大きな拍手を送りたい。